クリスマスは過ぎてしまいましたが、話題となったH&Mのクリスマス広告動画を紹介します。
『天才マックスの世界』、『グランド・ブタペスト・ホテル』など、個性的な作風で世界を魅了しているウェス・アンダーソンが監督を務めています。主演は、『戦場のピアニスト』で主演男優賞としてオスカーをとったエイドリアン・ブロディです。
冒頭の、走る車窓の中を外から眺めるというカットに惹きつけられ、その後につづく独特の世界観に魅了されてます。
主人公の車掌は、クリスマスの日だというのに11時間30分も到着が遅れるという、致命的なアナウンスをしなくてはなりません。乗客の反応が怖いですね。。
わずか2分ばかりの動画ですが、ゴージャスに作られた動画広告ですので、
ぜひ画面を大きくしてご鑑賞ください。
※日本語字幕がでない場合は、このページの下段に簡単な翻訳を用意しました。
ここに特別な伏線やドラマティックな結末は用意されていません。独特な世界観ですが、リアリティの枠を飛び越えるようなファンタスティックな演出もありません。しかし、知らない人とでも心を通わせたときに感じるであろう、ちょっとばかしのうれしさや、他人からでも誠意を示されたときに感じる温かみ、そんな忘れかけていた幸せな感情が蘇ってきます。
大げさに感情を強いることなく、あくまでも抑制を効かせた演出が好印象な動画です。
視聴後のこの幸せな感触は、そのままH&Mのブランドイメージへと引き継がれることになるでしょう。このようなビデオの演出を成立させるには、監督の作家性や腕も必要ですが、このような動画を許容する発注側の理解力によるところも大きいと思います。
エモーショナルな動画の好事例としてご参考にしていただければと思います。
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字幕機能が効かない場合もあるので、念のために、冒頭の車掌のアナウンスだけ、意訳で恐縮ですが、下記に記しました。あとは映像をご覧いただければお判りいただけるかと思います。
「客車14の乗客の皆さん、おはようございます。車掌のラルフです。
申し上げづらいのですが、昨晩からの悪天候のなか、
予定の路線でのメカニカルな難しさから、
別の路線に進路を変更をしております。
そのため、さらに11時間半の遅れが出る予定です。
およその到着時間ですが、いまのところ午前3時17分となっております。
皆様のホリデーの計画やお祝いに大きな支障を来たすことになるであろうことは承知
申し上げております。私自身の計画も、キャンセルになります。
大変なご不便をかけていることを深くお詫びいたします。
なおアシスタントポーターのフリッツと私で、
わずかばかりですが無料のクリスマスブランチをご用意させていただきます。
ウィップをトッピングしましたチョコレート風味のホットドリンクもご用意しており
まる。
カフェテリアは、一番最後の車両になります。20分でスタートいたします。
もう一度繰り返します。クリスマスブランチは、20分後になります。」