動画表現のアドバンテージを人物で考えてみる。

動画は、空間表現に優れ、強いリアリティを喚起させることができるので商品の紹介などにおいて強いアドバンテージを示すことを以前の投稿でご紹介しました。

映像のアドバンテージを深く理解してもらうために、今回は、表現する対象を、商品から人物に変えて考えてみたいと思います。

あなたの友人を表現するのに、プロフィール欄にあるような情報は、どれだけ「その人」を表現することにつながっているでしょうか。氏名、性別、年齢、出身地、仕事、学歴…、やはりそれだけでは、「その人」の人となりは伝わってきません。趣味や座右の銘、好きな本などを載せて、顔写真を加えれば、確かに少しは、“その人”の輪郭に迫れるかもしれません。しかし、それだけでは、“その人”が伝えきれるとは言い難いはずです。生身の人間はそこにはありません。


「会ってみないと分からない。」

婚活サイトには、きっとこのような言葉や感想が横溢しているのではないかと思います。プロフィールや写真で伝えられる情報は、「その人」が持つ、ほんの一部分の側面しか表現できないからです。

では映像を加えてみたらどうなるでしょうか。
微笑んだり、はにかんだり、瞬きしたり、ためらったり、そうした表情によって嫌がうえにも人柄が伝わってきます。さらに声のトーン、ボリューム、イントネーションが加わっていくと、その人のオーラのような、その人が醸し出す雰囲気までもが伝わってきます。いままでのプロフィールという平面的な情報から、映像を加えることにより、よりリアルに、立体的に、その人物に肉薄することができるわけです。つまり映像は、写真や文字情報では伝えることが出来ない、“その人”が醸し出す雰囲気や空気をも伝えることができるわけです。

人間は、人の顔に強く反応する。

広告マーケティングの統計データにおいて立証されているように、昔から、人間の顔をフューチャーした広告は、人間の顔を入れていない広告に較べ、高いレスポンス率が証明されています。それだけ人間は、“人の顔”に抗しがたい魅力を感じています。

たとえば米国のRocket Fuel社の調査では、保険業界のディスプレイ広告において、人間の顔が入っている広告が117%コンバージョンが高いことが実証されています。※1
平面的なディスプレイバナーでもこれだけの効果が実証されているわけですから、動画のように、よりリアルに人柄や雰囲気を伝えることができる媒体での効果は極めて高いことが想像できます。

ビジネスの応用では、様々なアプローチが考えられるでしょう。会社を代表する社長のプレゼンテーション、商品開発にかかわった開発者の声、バイヤーが自信をもって薦める商品紹介など。そうした出演者、紹介者の、熱意や人柄を通して強い説得力が生まれてきます。人柄を通して企業や商品を紹介していくというアプローチは、動画マーケティングにおける高いアドバンテージのひとつであると云えます。

社長の熱意を動画で伝えた好例

下記の動画の例は、新卒採用のための社長メッセージですが、これから社会人デビューへと人生の舵を切る新卒対象者に向け、会社の優位性や将来性を、社長自ら伝えようとしています。生身の人物を通した表現は、平面的な会社案内という媒体に較べ、高い説得力と共感を喚起することにつながることがわかります。

KDDI 社長メッセージ(2015年新卒採用)

こちらはトヨタ自動車の米国での動画コンテンツです。社長自らが、トヨタの新しい燃料電池自動車へのヴィジョンや活動を紹介しています。豊田章男社長と云えば、アメリカの公聴会のイメージが強く残ります。激しいトヨタパッシングのなか、弾劾裁判のように、痛々しいほどに矢面に立たせれましたが、その直後、ラリー・キングライブに自らの判断で出演を承諾し、真摯に問題へと対応しました。

彼の誠意が、米国の視聴者にどこまでテレビを通して通じたかは分かりませんが、嘘をつかない、努力するという姿勢と人柄は、最初から悪者と決めていた視聴者の心に幾ばくかの変化を与えたのではないかと思います。少なくてもこの公聴会とラリー・キングライブへの出演によって、アメリカでも最も有名な日本人の一人になった豊田章男氏自身が、自らの声で、会社の新しいビジョンを説明しています。ネイティブのような流暢な英語ではありませんが(実際にはかなりの英語力だと思いますが)、会社のリーダーとして自ら伝えようとする姿、また自らテストドライバーのようにハンドルを握る彼の姿には、彼の熱意が、視聴者にも伝わってくるのではないでしょうか。

Introducing Toyota’s New Fuel Cell Vehicle | Mirai | Toyota

パーソナルなストーリーが強い共感を生む

IRイベントの情報を動画で公開するというのも、個人投資家に向けての効果的なアプローチではないかと思います。こちらも豊田章男社長の基調講演ですが、冒頭は少し仰々しい始まり方ですが、講演に登場した豊田章男社長は、こちらの予想に反して会社の理念や業績を話し始めるのではなく、自身のことを語り始めます。入社以来、ボンボンで大丈夫かという周りからの先入観のなかで格闘しつづけなくてはいけなかった苦しみ、そうしたなかで社長就任直後の、米国の公聴会という最大の危機を通じて、自身のアイデンティティと社長としての自身の役割、自分の強みを明確に理解できたことなどを話し始めます。赤裸々に自らのことを語る姿と、悟りを開くまでのストーリーは、感動的でもあり強い共感を覚えます。この映像コンテンツを見ても、人間を描くことがいかに視聴者の共感に訴えることができるかがわかります。それと同時にまた、映像に何の工夫がなくても、コンテンツがよければ、視聴者の心をつかむことができるということも教示してくれます。

わたし自身、トヨタのファンではありません(失礼)、トヨタ車を乗ったこともありませんでした。むしろわたしの価値感とは、真逆にポジションしているように思われる会社でありましたが、このビデオを見て、強く共感を覚え、トヨタというブランドに対するイメージが大きく変わっていく自分を発見しました。このように自分のなかでブランドイメージが変容していく様を意識するにつれ、動画には凄い起爆力があるんだなと自明されたように感じます。

この記事を通じて、多くの方が動画マーケティングに力をいれていただくことを願っています。

 

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