百聞は一見にしかず。

映像表現の利点のひとつに、直感的に情報を伝えることがあげられます。

1分間の映像は、180万文字(英語の場合)に相当するという米国Forrest Researchの研究報告があります。ざっと計算して400文字詰め原稿4,500枚。凄い数字ですね。ちょっと厚めの300ページの文庫本で換算するとおおよそ10冊分に相当する分量です。映像は、それだけ瞬時に情報を伝える力が高いということであり、これが動画表現の大きなアドバンテージのひとつになっています。

たとえばウェブサイト上で、商品名、価格、サイズ、商品説明などスペック情報を並び連ねても、すぐにユーザーを購買へと導くのは難しいものです。購入に値する商品なのか、疑心暗鬼にあるユーザーは、商品を手にとったときのリアルな実感を得たいと感じています。商品スペッックだけでは、彼らを確信へと導くまでに至らないケースが多いため、ユーザーは、競合のサイトや比較サイトを行ったり来たりしながら熟考を重ねなくてはいけません。
実店舗においても、ショーケース内にある商品をみるだけの場合と、実際に商品を手にとった場合とでは、購買率は大きく異なります。ユーザーが求めているのは、商品スペックの裏側にある、リアリティにあるわけです。

まざまざと伝わるリアイリティ。

ビジネスバックを例にとって考えてみましょう。ビジネスバックの外側には、または内側にはどんなポケットが幾つついているのか。PCやA4の書類、または筆記用具やスマートフォンはどこに収納できるのだろうか。書籍を2、3冊入れても余裕はどれぐらあるのだろうか。こんなふうに、ユーザーは、購入に値するビジネスバックなのか、様々なポイントから吟味を重ねたいはずです。これらの情報は、スペック情報だけではなかなか埋めきることができません。

しかもユーザーの欲しい情報はそれだけに留まりません。バックの機能的側面だけでなくファッション性も気になる場合があります。表側の素材の質感はどんな感じなのだろうか。色の発色具合はどうだろうかとか。さらに実際にバックを持ったときの、自分の身長とのバランス具合も気になります。ユーザーは、自分が鏡のまえでバックを抱えているイメージを思い描きたいのです。

もちろん写真や文字情報を工夫しながら掲載すれば、ある程度、これらのユーザーの欲求に答えることができるかもしれません。しかし映像表現は、写真や文字情報とは異なり、一瞬にして多くの情報を伝えることが可能です。ユーザーは、写真や文字情報と睨めっこしながら吟味する必要はありません。動画を再生すれば、いとも簡単に欲しい情報を理解することができるわけです。
さらに立体的空間のなかで表現されるため、写真や文字情報による、強いリアリティを表出させることが可能です。

動画は、空間など文字情報では表現できない情報を、高いリアリティによって表現が可能であり、ユーザーの心を圧倒することができるわけです。

簡単な構成でも充分に伝わる。

下記の映像は、英国にあるカバンの販売サイトが提供している動画です。ナレーションもありません。テロップすらありません。奇をてらうような演出もなく至ってシンプルな動画です。しかし商品を伝えるということでは、非常にわかりやすく、この動画が、意思購入決定に大きく貢献していることは想像に固く有りません。まさに“百聞は一見にしかず”です。

流通系の企業では、こうしたビデオを工夫して発信しはじめているようですが、肝心のメーカー自体は、まだ積極的に動画コンテンツの発信に熱心ではないように思われます。“実店舗で商品をみたようなリアリティを実現する”映像コンテンツのアドバンテージを多くのマーケッターが理解し、ビジネス飛躍の端緒にしていただければと願います。

※1 .Forrester ResearchのJames McQuivey氏の研究によるもの。

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人柄が伝える強いリアリティ
出版社やゲーム会社など事業会社において、営業の最前線から上流の戦略策定まで一貫したマーケティング・経営の実践を学んだあと、2002年よりウェブへ転向。SEOやリスティング広告のコンサルティングを経て、現在は、ブランディング、コミュニケーションについてのプランニング・コンサルティングを行う。また近年は、映像制作やエディトリアル・コンテンツ制作にも力を入れています。著書:『ホームページ担当者が知らないと困るWebサイトリニューアルの常識』(ソシム刊)

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